アパホテルといえば、最近話題になった
宿泊療養の食事代中抜き疑惑。
アパ社長カレー。
は記憶に新しい。


ホテル業界では世界一の水準の収益力を誇り、アパホテルネットワークは日本全国と北米に400棟以上のホテルを展開。
そして、今も次々と新しいホテルを全国各地に開業中。
コロナ禍でホテル業界が大きな打撃を受けた中でも大幅な黒字決算を出している。
今回は、そんなアパホテルの強い経営戦略について書いていこう。
アパグループの直近の決算
アパホテルの直近の決算は以下となっている。
グループ連結売上高が917億円(前期比1.4%増)
経常利益は75億円(前期比645.5%増)
このように、大幅な黒字決算となっている。
コロナ禍で黒字確保している宿泊運営会社は極めて珍しい。
例えば、以下の大手運営会社の直近の決算は厳しい結果となっている。
●グリーンズ
「コンフォートホテル」などを全国展開
最終損益は19億円の赤字
●ワシントンH
東証2部
最終赤字75億円(過去最大)
●ディズニーリゾート
赤字287億円(過去最大)
なぜアパホテルは黒字を確保できたのか?
アパグループは上場企業ではない。
そのため決算発表資料には、数字以外については詳しく記載されていない。
だが、売上高が落ちた理由と黒字を確保できた理由について、次のような短い文章で説明されている。
「中核事業であるホテル事業では稼働率、宿泊単価とも大幅に低下し、大幅な減収となった」
「一方、業務の見直しや自社サイトへの誘導を進めてコスト削減に努めたことなどで、厳しい経営環境の中でも黒字を確保することができた」
これで特に注目する点は、「自社サイトへの誘導」によるコスト減。
これが黒字確保に大きくつながったのだろう。
もちろん自社サイト誘導のコスト減だけが、黒字確保に貢献したわけではない。
アパホテルはホテル施設の土地や建物を所有している。
そのため家賃の支払いが不要となる。
また、自社ブランドで展開しているため、ブランドロイヤリティを他社に支払う必要もない。
このように「経費負担」がないことも高い収益力につながっている。

コロナ禍でも大幅黒字!もう1つの理由
あと、もう1つの理由として挙げられるのが、「新型コロナ感染者向け宿泊療養施設」としての自治体の借り上げ需要の取り込みである。
アパホテルの営業が停止されている施設は、需要停滞で休業している訳ではなく、「感染者の施設」として運営されているからである。
営業停止施設を自治体がまとめて借り上げすることで、単価は低くはなるが安定した宿泊収益となる。
「じゃ、他のホテルも真似すればいいじゃん!」
と思ってしまうが、これにはある程度の規模が無いと、受け入れ基準を満たせないのである。
なので中小のビジネスホテルでは対応できない需要となる。
また、アパホテルはフロントの機械化を進め人件費を下げたり、宿泊価格を大胆に変更し収益を最大化させる。
といった企業努力を続けていることも、収益の拡大に貢献している。



国内のホテル業界の2極化
今後の日本国内のホテル業界は、次のような2極化していくだろう。
●滞在自体が目的となる外資系の高級ホテル
●宿泊拠点として活用する低価格のビジネスホテル



どちらに転んでも盤石な経営戦術
アパホテルは創業50周年を迎えたが、なんと創業以来一度も赤字を出したことがない。
この記録はコロナ禍においても継続中。
稼働率の低下が続き撤退していくビジネスホテルが増える中で、黒字を確保しているアパホテルは市場シェアを高めている。
現在コロナ状況は少し落ち着きを見せているが、今後さらなる感染拡大が起きたとしても、コロナ特需といえる宿泊需要によって利益確保も可能。
逆に、コロナ渦が収束すれば、今度は莫大な観光需要が復活することになる。
どちらに転んでも収益を確保!という訳だ。
これがアパホテルのマーケットのシェアを高める盤石な経営戦術である。
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