今回は、
次世代のロボット義肢が障害ライフを劇的に変える!?
という記事。
あなたが手足の障害を負って自由が奪われたとしたら?
まして、あなたの生き甲斐がダンスやスポーツだとしたら…。
そこに光と生きる希望を与えてくれる次世代義肢の誕生の歴史を紹介していこう。
開発者ヒュー・ハー氏とは?
アメリカのロッククライマーであり、エンジニアであり、生物物理学者。

MIT バイオメカトロニクス研究グループのカリスマリーダー。
その両足には、自身の登山事故がきっかけで開発した次世代のロボット義足を装着している。

次世代のロボット義足が生まれた歴史
ヒュー・ハー氏は1980年代初め、ニューハンプシャー州ホワイト山地の登山事故で凍傷を負い、両脚の膝から下を失った。
医者からは
「二度と登山はできないだろう」
と告げられる。
しかし、ヒュー・ハー氏それを受け入らなかった。
彼は地元の機械工場で、ゴムと金属、木材によるカスタムの義足を作り上げたのだった。
それにより、かつて自身の足では滑り落ちたであろう足場や氷の壁を登れるスパイクを自らデザインした。
事故後の彼は、今まで以上に自信に満ちた登山家となり復活を遂げた。

ヒュー・ハー氏は身体の一部を再設計するこのプロセスについて、こう語っている。
「身体の一部分が失われたことはチャンスと感じ、何かを生み出すための、新しいパレットだと考えた」
通常であれば両足を失うことは人生を悲観する出来事だろう。
しかし、彼は違った。
この精神が他を寄せ付けない、並外れた学問とキャリアへの道を開くことになる。
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MITのグループのリーダーへ!
その後ヒュー・ハー氏は、
MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学で学位を取得。
のちにMITのバイオメカトロニクスグループのリーダーとなり、このグループは研究界では頭一つ抜けた存在となっている。
ヒュー・ハー氏は自身の研究をこう考えている。
・人間とマシン間のフラストレーションに立ち向かう道徳的義務。
・人工装具が装着者の身体に「擦り傷」や「あざ」を付けることのない世界の実現。
・四肢麻痺を抱える人々が、再び歩けるようになるかもしれない世界へと通じる道。
「私個人の体験が、人口遊具デザインの質やデザインの問題点や苦悩を明確にさせた」
過去の義足イメージと課題
義足と聞いてあなたはどんなイメージだろうか。
海賊ような木製義足?


これは古過ぎだとしても、これが一般的だろう。


一般的な人工装具がどれほど進化しても繊細さに欠ける。
海賊が用いていた杭のような形の木製義足のそれと同じである。
人体と義肢を適切にブリッジ(装着)するには、
義肢が装着者の意図を感知し、それに従って反応する必要がある。
ヒュー・ハー氏はこのように考え、
その思いを形にした義足がこちら!




「バイオM(BioM)」(ロボット義足)の特徴と性能
足首義足「バイオM(BioM)」は義足の位置を測定し、次の一歩の予測を付けるマイクロプロセッサー、モーター、センサーが使用されている。
これが、足首義足「バイオM(BioM)」のデザインの根拠となっている。
筐体には「炭素繊維」と「クロム」で一体成型され、センサーと回路がびっしりと詰まっている。
バネと小型電気モーターにより作動する人工の腓骨筋を制御。
装着者が、
階段を降りる際には、
バネが位置エネルギーを捉える。
階段を上がる際には、
モーターがわずかに後押しする。
また、このデバイスは歩行速度や踵接地(かかとが地面に接地する)の角度などを計測し、一歩ごとに義足が「どう動作すべきか」を内蔵コンピューターが計算する。
まさに次世代ロボット義足なのである。


その結果、筋肉と骨で構成されたリアルなふくらはぎと同様の機能を持つハイブリッドマシンが生まれた。
これは、人工装具の分野では前例のないこと。
一歩踏み出すごとに「バイオM(BioM)」は自然に装着者を前進させる。
こうした歩き方は、従来の自動化されていない人工装具では再現できなかった。
「バイオM(BioM)」ユーザーの熱狂的な声
元海軍兵士のウィリアム・ギャズビー氏は、2007年にイラクでの奇襲攻撃で右足を失った。
従来の義足への適応に長い間苦しんだ後、BiOMの使用をスタートさせた。
そんな彼は、
「ヒュー・ハー博士は私のインスピレーションの源です」
「ヒュー・ハー博士は、誰かが優れた装具を作ってくれればと、ただ他人任せにして待つのでなく、学位を取得し、自分を含む全ての人のために義足を作ったのです!」
と語っている。
理想を求め、自ら有言実行したのである。






BiOMの今後の展望とは?
BiOMのような人工装具は、人間とマシンのきっかけに過ぎない。
ヒュー・ハー氏はこう語る。
「私の膝から下は、簡単に言えば大量のナットやボルトの集合体だ」
BiOMはセンサーを使用し使用者の歩幅を検知し、それに応じて反応する。
しかし、装着者の神経系からは切り離された状態にある。
どんな職人よりも器用な手、どんなバレリーナよりも機敏な足をデザインするには、神経系とセンサーの間にあるギャップを埋める必要がある。
人間の神経系にデジタル接続される、新しいタイプのセンサーが必要なのだ。
MITのヒュー・ハー氏のチームは、それを完成させる幾つかのストラテジーを検討中らしい。
例えば、
期待の持てる手法のひとつに、
人工のチューブを通じて神経を成長させる
というアイデアがある。
電極を使用して神経系から直接インパルス (活動電位) を受信するというのだ。
これにより、
四肢のこわばりや柔らかさを感知し、より快適で装着感に優れた義肢の作成が可能となる。
これはヒュー・ハー氏が思い描く未来の一部である。
「優れたデザインは、人間について極めて深い理解から影響を受ける」
「将来は人間全員が、自身をデジタルで表現した「デジタル肖像」を所有するようになり、デジタル化された人体を使用し、人間が使用する全てをデザインするフレームワークが登場するだろう」
これは身体に障害を持つ全ての人々を、これまでの装具による「焦燥感」や「不快感」から解放させるだろう。
では最後に、この動画をご覧き締めよう。