今回は、
イベントオーガナイザー必見!イベント保険の解説
を書いていこう。
新型コロナの影響でイベンターは頭を抱えているはず。
ダンスイベント
発表会
音楽フェス
お祭り…etc
そんな多くの人が集まるイベントにおいて、さまざまなリスクの補償をしてくれるのが
「イベント保険」
聞きなれない人もいるだろうけど、これがなかなか侮れない。
保障内容を確認しておくことでリスクを抑えられるので、これを機に是非覚えておこう。
イベント保険とは?
一口にイベント保険と言っても、初めて聞く人はイメージできないと思う。
イベント保険とは、コンサートや展示会・スポーツ大会お祭りなどのイベントで発生しうるさまざまな損害・賠償の費用を保障するための保険をさす。
イベント保険の対象となる「イベント」とは、上記であげた例以外にも基本的に「人が多く集まる催しもの」となる。
補償の対象は幅広く、主に以下のような内容があげられる。
(補償の詳細は次に紹介)
・イベントが中止になってしまった場合の損害に対する補償
・イベントの施設、機材の不備で第三者への賠償が必要となったときの補償
・イベントで発生した事故などにより参加者や出演者がケガをしたときの補償
・イベントで取り扱った機材、展示品などが破損・紛失した場合の補償

どんな補償があるか?
イベント保険の対象となる補償は幅広くさまざま。
イベント保険は実際にはいくつかの保険により構成されており、それぞれの保険によって補償の対象や内容が異なる。
具体的には、以下4種類の補償となる。
興行中止保険
イベントが中止になったときの補償
施設賠償責任保険
イベント施設が原因で人に損害をあたえたときの補償
傷害保険
イベント参加者・観客がケガをしたときの補償
動産総合保険
イベント用機材・展示品などに対する補償
また、それぞれの補償例についてイベント保険(2019年5月時点)を例に以下2つのパターンで紹介しよう。
【屋外コンサート(フェス)】
規模:費用総額4,000万円
時期:5月上旬(1日間)
場所:東京都内の野球場
【地域の祭り(打ち上げ花火を伴わないもの)】
規模:費用総額100万円
時期:8月上旬(2日間)
場所:大阪府内の公園



イベントが中止になったときの補償【興行中止保険】
例えば、
お祭りや花火大会が天候により中止になる。
アーティストの急病でコンサートが中止になる。
このようなトラブルで開催元は大きな損害をこうむってしまうことになる。
このとき、イベント保険のうち「興行中止保険」によって補償が可能。
「興行中止保険」において支払いの対象となる損害は以下。
中止費用
イベント準備のためにそれまで支出していた費用
追加費用
イベント中止・延期にともない臨時で支出する必要がでた費用
以下、先ほどの2パターンの興行が中止になった場合の保険補償例を紹介。
【屋外コンサート(フェス)の例】
費用総額:4,000万円
支払限度額:3,600万円
縮小支払割合(※):90%
保険料:約140万円
【地域の祭りの例】
費用総額:100万円
支払限度額:100万円
縮小支払割合(※):100%
保険料:約10万円
※縮小支払割合とは…
損害額に対して補償を行う割合のこと。
たとえば縮小支払割合が100%なら、損害額を全額補償することになる。



イベント施設が原因で人に損害をあたえたときの補償【施設賠償責任保険】
例えば、
イベントのテントが設置方法の不備で倒れて参加者にぶつかるなど、イベント施設が原因で人を怪我させたり人のモノを壊してしまったりしたときの補償。
イベント保険のうち「施設賠償責任保険」で補償が行われる。
施設賠償責任保険で保険金の支払い対象となる、具体的な損害の内容は以下。
・被害者に対する損害賠償金
・訴訟費用
・損害防止軽減費用
事故が起こったときに、その損害が拡大するのを防止するために契約者や被害者が使った費用などをさす。
・協力費用
保険会社が損害賠償請求の解決をするにあたり、保険会社の求めに応じ契約者が協力するのにかかった費用をさす。
施設賠償責任保険の具体的な補償例は以下。
【屋外コンサート(フェス)の例】
見込入場者数:1万5千人
支払限度額:
対人・対物合算、1名・1事故につき1億円
保険料:約3万円
【地域の祭りの例】
見込入場者数:500人
支払限度額:
対人・対物合算、1名・1事故につき1億円
保険料:約1万円



イベント参加者・観客がケガをしたときの補償【傷害保険】
コンサートで観客が将棋倒しになるなどして、イベント中に参加者や観客がケガをしてしまったときに、その参加者や観客に支払うお金をまかなうための補償。
イベント保険のうち「傷害保険」で補償が行われる。
傷害保険で支払われる保険金の種類は以下。
死亡保険金
被害者が死亡した場合の保険金
後遺障害保険金
被害者に後遺症が残った場合の保険金
入院給付金
被害者の入院にかかった費用を補償する保険金
手術保険金
被害者が手術するのにかかった費用を補償する保険金
通院保険金
被害者が通院するのにかかった費用を補償する保険金
傷害保険の補償例は以下。
【屋外コンサート(フェス)の例】
対象者:1万5千人
保険金額:
(死亡・後遺障害)1,000万円
(入院日額)1,500円
(通院日額)1,000円
保険料:約6万円
【地域の祭りの例】
対象者:主催者・ボランティア50人
保険金額:
(死亡・後遺障害)1,000万円
(入院日額)1,500円
(通院日額)1,000円
保険料:約3万円



イベント用機材・展示品などに対する補償【動産総合保険】
火災で展示品が焼けてしまったり、大道具・小道具が運送中に破損してしまったりなど、イベント用の器材や展示品が破損・紛失してしまった場合の補償。
イベント保険のうち「動産総合保険」で補償が行われる。
動産総合保険で支払われる、具体的な保険金の種類と内容は以下。
●損害保険金
機材・展示品について発生した損害をまかなうための保険金。
たとえば機材や展示品を買い直したり修理したりするのに使われる費用。
●臨時費用保険金
損害保険金とは別に支払われる保険金。
たとえば破損した機材を新調する場合、その商品の代金以外にも費用がかかることがある。
例:機材を購入するために自社の従業員を地方へ派遣するなど
その際の費用をまかなうための保険金。
●残存物取片付け費用保険金
破損したイベント機材や展示品を片付けるのにかかった費用をまかなうための保険金。
●損害拡大防止費用
文字通り損害が拡大するのを防止したり、被害を軽減したりするために使われた費用をまかなうための保険金。
●権利保全費用
権利保全費用とは、第三者からの損害賠償を受けるにあたり、証拠や書類を用意するのにかかった費用のこと。
例えば、
参加者の過失によりイベント機材が破損したような場合、その参加者に対して損害賠償することがある。
その際、損害賠償するための書類を集めたり証拠を用意したりするのにかかった費用のことを権利保全費用という。
以下、「動産総合保険」の補償例。
【屋外コンサート(フェス)の例】
対象物:音響設備約1,000万円相当
免責金額(自己負担額)(※):1事故につき5万円
保険料:約5,000円
【地域の祭りの例】
対象物:神輿約500万円相当
免責金額(自己負担額)(※):1事故につき3万円
保険料:約12,000円
※免責金額(自己負担額)とは…
発生した損害額のうちで、契約者自身で負担すべき費用をさす。
たとえば上記「屋外コンサートの例」では、「免責金額(自己負担額)」が「1事故につき5万円」。
この場合、損害額のうち自己負担すべき費用が5万円となり、仮に全損で1,000万円の損害が出たとすると、そのうち5万円が自己負担となる。
結果、保険会社に補償してもらえる額は「約1,000万円-5万円」=約995万円と言うことになる。



付加するとよい特約について
イベント保険は、特約を付与してさらに保障内容を充実させることもできる。
ここでは、イベント保険に付加するとよい特約をピックアップして紹介しよう。
訴訟などになった際の費用を補償するための特約
訴訟・仲裁・和解・調停などが必要となった際には、以下にあげるような費用が発生することになる。
・意見書または鑑定書作成のための費用
・相手方当事者または裁判所に提供する文書作成費用
・被保険者の使用人に対して支払う超過勤務手当、交通費、宿泊費または臨時雇用費用
これらを補償してくれる特約のことを「訴訟対応費用保障特約」と呼ぶ。



事故などの初期対応にかかった費用を補償するための特約
イベントで事故が発生した際にはいろいろな初期対応が必要となる。
その費用を補償するための特約を「初期対応費用補償特約」と呼ぶ。
具体的に補償の対象となる「初期対応」の例として以下。
・事故現場の後片づけ・清掃費用
・被保険者の使用人を事故現場に派遣するために必要な交通費または宿泊費
・事故が他人の身体の障害である場合は、慣習として支払った見舞金(香典を含みます)または見舞品の購入費用



イベント保険の保険料はどのように決まるか?
保険料の例は参考例で示しましたが、ポイントとなる要素がさまざま。
イベントの種類や規模をはじめ、
・どのくらいの予算で行われるイベントか?
・いつどこで行われるか?
・どんな保障内容を必要とするか?
・免責(自己負担額)の有無は?
など色々あげることができる。
例えば、
同じお祭りでも、打ち上げ花火を”行う”か”行わない”かでも危険度が大きく異なるので、それが保険料に反映される。
イベント保険では、ここにあげたような条件を考慮した上で、保険会社で案件ごとに保険料の算出が行われることになる。



イベント保険のまとめ
イベント保険は、イベントが中止になったときから機材・展示品などが破損・紛失したときまで、イベントに関わるさまざまなリスクに対する補償をカバーしている。
また特約によって弁護士費用や事故の初期対応にかかった費用などもカバーすることが可能なので、イベントを開催する際はぜひ検討したい保険といえる。
以上、イベンターやオーガナイザーはイベント保険を見直してみてはいかがだろうか。