今回は、
脳科学者である中野信子さんが書かれた
「科学がつきとめた運のいい人」
という本を紹介しよう。


最初に言っておくと、この本はかなりオススメ。
それはなぜか?
この本書では、運という一見どうしようもなさそう…という事象に対して、科学的にアプローチし”運がいい人になる方法“について解説しているから。
「なるほど!そういう考え方があったか!」
とか、
「いやぁ確かにそうだな」
みたいな目からウロコな主張がたくさんある。
というわけで、結論を最初に書くとこう。
科学がつきとめた運のいい人の結論
幸運はみんなに公平に降り注いでおり、それに対して私たちは主体的に関わっている。
つまり運がいいかどうかというのは、その幸運を
「拾えるタイプなのか?そうでないのか?」
の違いである。
ということで、この記事はどうすれば幸運を拾えるタイプの人間になれるのか?
という具体的な方法について2つ解説していきたいと思う。
①中野先生の主張
(科学的根拠をもとにした主張)
②運がいい人になる3つの方法
の順番で書いていこう。
①中野先生の主張
結論。
中野先生いわく、
幸運は私達に公平に降ってくるものである。
運がいいか悪いかというのは、その目の前の幸運を掴めるか?掴めないか?の違い。
こう主張している。
つまり運とは「全くコントロールできない!どうしようもない!」と言ったものではなく、私たちが主体的に関わって変えられるものであるということ。
運に対して科学的にアプローチしてみると見えてくることがある。
幸運をつかむために必要なこと
では、幸運を掴むために必要なこととは何だろうか?
それは、
試行回数が多いこと。
チャンスに気づけること。
チャンスに取り付けること。
などがある。
運について自分では「どうしようもないもの」と決めつけて終わるのではなく、自分に対して科学的にアプローチした場合、
●いかに多くチャレンジできるか?
●チャンスに気づけるか?
●チャンスにビビらず取り付けるか?
など、いくつかの幸運を掴むための要素が見えてくる。
そして、このことから次のようなことが言える。
運がいい。運が悪い。
というのは、その人の”考え方”や”行動のパターン”によって作り出されるものである。
「運はどうしようもないもの」とせずに、最大限なるべく味方につけるにはどうすれば良いだろうか?
というアプローチをしているのが本書のとても面白い点。
というわけで、ここまでの話をまとめると、
幸運は私たちに公平に振っているものである。
運がいいか悪いかというのは、その目の前の幸運を掴めるか?掴めないか?の違いである。
そして運がいい人とは試行回数が多く、チャンスに気づくことができ、チャンスに取り付ける人。
ということ。
つまり運の良し悪しとは、その人の「考え方」や「行動パターン」によって、時間をかけて作り上げられていくのである。
では、どんな考え方や行動のパターンを持てば運が良くなるのだろうか?
というわけで次は…
②運がいい人になる3つの方法
まず1つ目。
1.自分で自分を大事にすること
自分を大事にするという行動パターンを持っている人の方が運がいい人だと言える。
なぜ自分を大事にすると運が良くなるのだろうか。
それは自分を大事にしている人は、周りの人からも大事に扱ってもらえるから。
そもそも前提として運の良し悪しは、他人と良い人間関係を築けているか?
ということが大きく関わってくる。
なぜ”良い人間関係が大事か?”と言うと、
良い人間関係からいいチャンスが生まれるから。
人は他人と協力したり競争したりする中で、大きな成果を上げることができる社会的な生き物。
もう少し掘り下げると、
良い人間関係を持つことは脳を活性化させる。
具体的には「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」「エンドルフィン」このような脳内物質の分泌を促してくれるのである。
次は、これらの脳内物質について簡単に説明していこう。
これらの記事はここでも説明してあるので読んでみよう⬇︎







まずはセロトニンについて。
セロトニン別名「幸せホルモン」
軽い運動をする、咀嚼、日光を浴びる。
入浴、良い人間関係を持つ。
などによって脳内で分泌されメンタルを安定させたり、やる気や活力を与えてくれる。
頭がスッキリして明瞭になるストレス解消効果などがある。



次にオキシトシンについて。
オキシトシン別名「愛情ホルモン」
人や動物とのスキンシップ。
可愛がったり大事にする感情、愛情。
などが引き金となって脳内で分泌される。
オキシトシンには脳機能のアップ、ストレス軽減、過度な食欲の抑制などの効果がある。
ではドーパミンについて。
ドーパミン別名「やる気ホルモン」
達成する時や目標達成に向けて努力する時。
ライバルと競い合う時。
などに分泌され、やる気!活力!動力!を与えてくれる。



次にエンドルフィンについて。
エンドルフィン別名「脳内麻薬」
エンドルフィンは激しい運動や心身のリラックス、心身の快感を感じる時に分泌される。
具体的には、
ランナーズハイの状態の時。
アロマやクラシック系の音楽などでリラックスする時。
性行為や入浴。
好きな食べ物を食べる。
などによって、体が快感を感じる時などに脳内で分泌されている。
そして、エンドルフィンが出ると私たちは多幸感、恍惚感を感じ、
ストレスの解消、体の修復、脳機能向上などの効果を得ることができる。
以上のように「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」「エンドルフィン」は脳機能の向上やメンタルの安定などの様々な良い効果を私達に与えてくれる。
そして大事なことは、この4つの脳内物質は
「良い人間関係によって、より多く分泌される」
ということ。
この根本的な理由は、人間が社会を形成することで命を繋いできた社会的な生き物だから。
他者と良い人間関係を持つこと。
これは私達にとって大きな意味を持つのである。
運がいい人とは「良い人間関係を持っている人」
幸運は人経由で降ってくることが多い。
そして、良い人間関係を持つことで
心身に良い影響を与える。
いつでも幸運に気づける状態になる。
掴みに行ける活力がある状態を保つ。
そして、この良い人間関係を保つために大事なことが
自分で自分を大切に扱う!
ということ。
こうすることで周りの人も自分を大切に扱ってくれる。
ちなみに、これは心理学では「割れ窓理論」と呼ばれている。
割れ窓理論とは、建物の窓が壊れているのを放置すると、その地域では犯罪が起こりやすくなる。
という理論。
わかりやすい身近な例では「ポイ捨て」
何か1つでもゴミが落ちていると、さらなるポイ捨てが起きやすい。
それに対し、ゴミが1つも落ちていない綺麗な場所では、誰もポイ捨てする気にはなれない。
みたいなこと。
要するに、既に雑に扱われている物はさらに雑に扱われやすく。
大事にされているものは引き続き大事にされやすい。
というのが人間の心理となる。
そして、この割れ窓理論という人間の心理は対人関係でも生じる。
つまり、
自分のことを粗末に扱っていれば、
周りの人も自分のことを粗末に扱う。
自分のことを大事に扱っていれば、
周りの人も自分のことを大事に扱ってくれやすくなる。
自分を大切に扱うとは?
自分のことを好きでいる。
自分に自信を持つ。
健康に気を遣う。
身なりを整える。
など、自分を大事にしてあげることが大事。
そうすることで”良好な人間関係を築きやすくなる”のである。



では次に運が良くなる方法の2つ目。
2.自分は運がいいと決め込む
自分は運がいいと思っている人
自分は運が悪いと思っている人
この両者では困難に対する捉え方や対処法が変わってくる。
例えば、
自分は運が悪いと思っている人は、
「困難や失敗に対して、自分は運が悪いからうまくいかないんだ」
と失敗を運のせいにしてしまう部分がどうしても出てしまう。
それに対し、自分は運がいいと思っている人は、
「自分は運がいいのに、失敗や困難に対してうまくいかない。
ということは、やり方が悪いとか努力が足りないことが原因なんだ」
と考える。
つまり、「自分は運がいい」と思っている人の方が改善や努力の余地があるということ。
このように考え方によって困難に対する対処方法が違ってくる。
この対処法の違いが、長い年月をかけて積み重なれば大きな結果の違いが出てくる。
自分は運がいいんだ!
と思い込んでいる人の方が成長しやすいし、更なる幸運につながりやすい。ということになる。
そして目の前に降ってきた幸運を掴みやすい思考のパターンになるのだ。



続いて、運が良くなる方法3つ目。
他人との協調性を目指す
繰り返しになるけど、人は社会的な生き物。
社会を形成して協力することで繁栄してきた生き物である。
そんな私たちは脳の仕組み的に、
人と協力する時、競い合う時。
人に感謝する時、感謝される時。
こんな時に高いパフォーマンスを発揮することができる。
これは良い人間関係によって、
「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」「エンドルフィン」などの脳内物質が働いているから。
このような理由で、他人との協調性を目指す人の方が運がいい人になれるのだ。
他人との協調性を目指すことで、自分という個人のパフォーマンスを上げることができる。
ゆえに幸運には他者との良い人間関係が大きく関わってくる。
これは有名なベストセラー
「GIVE & TAKE 与える人こそ成功する時代」
でも書かれている。
この本ではギヴァー(giver)という”与える人”こそ大きな成果を上げることができる。
ということが書かれている。
ギヴァーはギヴァー同士で集まり、価値や情報を与え合い共有する。
そうすることで、より多くのチャンスや幸運を得やすくなる。
結果的にギヴァーは中長期的に成功しやすい!
ということが本書では様々な例と共に解説されている。
他者との共生を目指す人。
奪う人ではなく与える人。
みんなの成功を目指せる人。
そんな人が良い人間関係や良いチャンスを得ることができる”運がいい人”なのである。



というわけで最後にまとめよう。
まとめ
①中野先生の主張
幸運は私達に公平に振っている。
運がいいか悪いかというのは、その目の前に降ってきた幸運を掴めるか掴めないかの違いである。
そして運がいい人とは試行回数が多く、チャンスに気付けチャンスに取り付ける人。
つまり運の良し悪しとは、その人の”考え方”や”行動のパターン”によって長い時間をかけて作り上げられていくものである。
②運がいい人になる3つの方法
自分で自分を大事にする。
自分は運がいいと決め込む。
他人との共生を目指す。
という内容を紹介してきた。
運という一見どうしようもない事象に対して、科学的にアプローチして説得力ある意見を打ち出しているという点で、この本はとても面白く学びになる本だと思う。
運だけではなく、「自分ではどうしようも無さそうなもの」に対して、自分でなんとかコントロールできる部分を見出し変えることも可能。
そして、そのような姿勢がとても大事なのだ。
この記事で少しでも運についての考え方が変わったり、何か人生を良くするサポートができれば幸いである。
今回の「科学がつきとめた運のいい人」については、まだまだ紹介できない部分が沢山あるので、ぜひ読んでみて欲しい。